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学長ステートメント

TERRACE「テラスのような大学」を目指して ―京都駅東部エリアへのキャンパス移転に際して―

 京都市立芸術大学(京都芸大)は、令和5(2023)年10月に、慣れ親しんだ西京区沓掛から京都駅東部エリアにキャンパスを全面移転いたします。今回の移転に際し、京都芸大がこれまで大切にしてきたこと(MISSION)、これから志していくこと(VISION)、を市民の皆様や広く社会に知っていただきたいと考え、このステートメントを発表することにしました。

HISTORY:これまでの歩み

1880年設立「京都府画学校」が私たちの起源

 幕末からの戦火や遷都により、まちが衰退していた京都で、画力を身につけることで産業に資する人材を育て、再興を目指そうとしたのは画家たちでした。明治13(1880)年に彼らによってつくられたのが「京都府画学校」です。そして戦後復興が進む昭和27(1952)年に「京都市立音楽短期大学」が設立されました。やがてこの2校が統合され、昭和44(1969)年に「京都市立芸術大学」となり、さらにその後、大学院研究科や日本伝統音楽研究センターと芸術資源研究センターを設置し、芸術の総合的教育研究機関としての体制を整え今日に至ります。京都の人々は、真に厳しいとき、苦しいときに、「芸術は新しい時代を切り拓く力」だと考え、芸術教育に力を注いできました。小規模な大学でありながら京都芸大は140年以上にわたり、多くの芸術家を輩出し、文化芸術都市・京都の発展とともに歩んできました。

MISSION : これまで大切にしてきたこと

1 「創造の現場」として

 創造とは、想像したことや空想したことを「技(わざ)」によってかけがえのない自分の表現に置き換えることです。そのためには、「言葉にすること」に加えて、「描くこと」、「奏でること」、「造ること」、「歌うこと」など、身体と道具を使う知と技の習得・研鑽が必要不可欠です。京都芸大はまさに、この知と技を学ぶ「創造の現場」にほかなりません。

2 教育や研究の「共有、公開」

 京都芸大で行われる教育や研究の成果は、可能な限り「共有・公開」されるべきものです。「共有」は学部や専攻を越えた学内、さらには、地域、市民・府民、やがては国境を越えるなどして、多層的に広がり、人々をつなぐことを可能にします。また、京都芸大が生み出す芸術を、展覧会や演奏会などを通して「公開」し、学術、産業、生活文化など様々な分野に新しい視点や活力をもたらします。

3 オルタナティブな視点(もう一つの視点)の提供

 芸術、そして芸術大学が担う重要な役割のひとつは、あたりまえの世界から距離をとり「少し浮いた状態」から、常識的な視点とは違ったオルタナティブな視点(もう一つの視点)を提供することにあります。常識にとらわれない自由な試みから生まれる、並外れたもの、格別なものを私たちは大切にします。個性や新しさと呼ばれる特質は、そこから見出されるものです。

VISION : これから志していくこと

TERRACE テラスのような大学

 新校舎において上述のMISSIONをさらに強力に進めていくため、私たちの目指す新たな大学像を「TERRACE」と定めました。テラスは外に向かって開かれ、地面から少し浮いている場所です。社会に向かって、テラスのように張り出した大学は、地域の歴史や文化と緩やかに繋がります。そこは風通し良く、さまざまな人々が出会い、交流・交差が「芸術」を原動力にして活発に行われる場です。そして、テラスで受け取った刺激や情報を教員や学生がそれぞれ吸収し、作品や研究・演奏に昇華させ、クリエイティブで国際的な文化芸術の交流拠点となること。それが、京都芸大が目指す「テラスのような大学」です。

SUSTAINABILITY 創造と循環の調和

 地球環境問題は未来の話ではありません。先端的な研究や伝統的な知・技の継承を通じて、「2030年の私たち」「2050年の地球」に向き合う独創的な芸術家を育てることは、京都芸大の目標の一つです。新キャンパスでは効率化、高速化、大量生産・大量消費といった市場の流儀にとらわれず、創造と循環の調和を目指し、私たちの持続可能性を考え、未来への希望を育てていきます。

DIVERSITY 多様性があり、お互いを尊重しあう価値観

 個々の「違い」こそ、誰もが持つ創造力の源泉です。各々の個性にしっかりと目を向け尊重すること。京都芸大は、今回の移転をきっかけに、今まで以上に背景の違う人たちと積極的に関わり、自らの表現力に磨きをかける、そんな大学になることを目指していきます。また移転先の歴史や伝統を学び、それらを次世代に継承していく役割も担っていきます。新キャンパスでは、国籍、性別、年齢、ルーツや背景、生活文化の違い、障害の有無の垣根を超えて、人々が芸術を通して豊かなコミュニケーションができる場を生み出します。

KCUA NEWLY UPDATE 2023

京都のミライを照らす、100年後も魅力的な大学

この誰の目にも不安定で、先が見えない複雑な時代、京都市立芸術大学はMISSIONとVISIONを掲げて新しい場所TERRACEに移転します。この移転は、厳しいときにこそ「芸術は新しい時代を切り拓く力」と考えた先人たちの「思い」、今を生きる京都市民・府民、芸術を愛する企業の皆様、移転先の地元の皆様、本学在校生、教職員、卒業生などの「思い」、そして将来にわたるすべての関係者の「思い」を背負った移転です。新しいキャンパスには、最先端の芸術を紹介するギャラリー、開学以来140有余年の間に収集した貴重な芸術資料や作品を収蔵した芸術資料館とその展示室、クラシック音楽に最適な音響設備を持つ音楽ホール(堀場信吉記念ホール、笠原記念アンサンブルホール)、パブリックに開かれた図書館などが整備されます。新しいキャンパスは、芸術を志す学生たちの夢や思索をカタチにし世界の人々に届ける場所であると同時に、「文化芸術都市・京都」が未来に発展するための拠点でもあります。多くの方々に新しいキャンパスで、学生たちが日々向き合う創作・表現活動や教員や研究者による最新の芸術の研究に触れていただきたいと思います。
令和5年(2023)年10月、新たな場所でミライに向かって一歩踏み出す、
京都市立芸術大学にどうぞご期待ください。

令和4(2022)年9月
公立大学法人京都市立芸術大学
理事長・学長 赤松玉女