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国民文化祭「美術展」ワークショップ「あのチリメンモンスターを扇子にえがこう!」

2011.11.15

「ちりめんじゃこは何の魚の子どもかわかりますか?」
「イワシ~」
「そう,よく知っているね。主にカタクチイワシの子どもです。」

 京都市美術館で聞きなれない理科の授業をする声が聞こえます。

 今年度,京都府で開催された国民文化祭の事業「美術展」において,京都市立芸術大学日本画専攻「学ぶ日本画プロジェクト」小池准教授川嶋准教授,卒業生と学生6名が,親子を対象としたワークショップ「あのチリメンモンスターを扇子にえがこう!」を行いました。

 皆さん,チリメンモンスターって御存知ですか?
 「チリメンモンスター(以下「チリモン」)」とは,ちりめんじゃこに混入した小さなタコやイカ,カニ,タツノオトシゴなどのことで,子ども達に人気があります。
 今年,本学1年生の総合基礎実技の課題でも題材として取り上げ,大阪府水産技術センター・日下部敬之氏,京都大学大学院理学研究科教授の山極寿一氏の講義と合わせ,魅力的な授業となりました。(詳細は,こちら

 このワークショップでは,ものづくりの基本である『みつける』,『かんさつする』,『えがく』ということを,ちりめんじゃこの中から好きな「チリモン」をみつけることをきっかけとして体験しました。そしてそれを生活に活かす京都らしい形に残すために,墨と顔彩を使い,扇面に「チリモン」を描きました。

 最初に理科のような講義があり,ちりめんじゃこの住んでいる場所や漁の方法,水生生物の分類,発生,生態にかかわる名称などを学びました。絵を描くうえで,対象をよく知ることは大事なことです。

 いよいよ,「ちりめんじゃこ」の登場です。 子どもも保護者も,配られた「ちりめんじゃこ」の中から「チリモン」を『みつける』ことに大興奮です。
 まるで配られたものが宝箱であるかのように目を輝かせて「チリモン」を探し,「これは何やろ?」と言いながら,イカやタコなどを見つけては喜んでいました。また,虫眼鏡も楽しいようで,見つけ出した「チリモン」を,興味津々で覗きこんでいました。

 見つけた「チリモン」をしっかりと『かんさつ』してから扇子に描いていきます。
 輪郭を墨で描いていきますが,保護者にとっては硯で墨をするのは懐かしく,逆に,子どもにとっては珍しいようで保護者に教えてもらいながらすっていました。
 子どもも保護者も,虫眼鏡で「チリモン」を『かんさつ』しながら,線を描き,色を付け,思い思いに作品を仕上げ,ゆっくりと楽しい時間を過ごされました。

 最後に子ども達にメッセージです。
「身の回りには不思議なものがいっぱいあります。私達は物を見ているようで意外と見ていません。『えがく』ことで,よく『かんさつ』するため,新しい発見があります。これからも色んなものに興味を持ってほしいですし,美術館にもいろいろな作品を見に来てください。」

 参加者の描いた名作は,職人の手により,綺麗な扇子に仕立てられ,参加者の手元に届けられます。来年の夏には,参加者自身が『みつけて,かんさつして,えがいた』世界に一つしかない粋な扇子で,涼を楽しまれていることと思います。

 京都市立芸術大学では,芸術大学が持つ様々な情報や知識を,地域の文化芸術振興に生かす取組を行っており,今後も,関連機関と連携し,取組を進めてまいります。