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2011年総合基礎実技第4課題「描くパワー ~好奇心と探究心~」の授業の様子を紹介します

2011.06.27

 京都市立芸術大学美術学部において既に30年以上の実績をもつ,全専攻の1回生を対象にしたユニークな実技カリキュラム,総合基礎実技の2011年度第4課題「描くパワー ~好奇心と探究心~」の授業の様子を御紹介します。

 芸術作家やデザイナーにとって,「物をありとあらゆる面から観察して,自分とのつながりを作り,感じること」は,非常に重要なことであり,この授業では,学生はそれを実践を通して学びます。

 皆様,「ちりめんモンスター」を御存知ですか。

 「ちりめんモンスター(以下「ちりモン」)」とは,ちりめんじゃこに混入した小さなタコやイカ,カニ,タツノオトシゴなどのことです。

 この授業では,学生にとって新鮮で面白いものとして,「ちりモン」を題材とし,拡大鏡を使ってケント紙に描きます。ちりめんじゃこの中から小さいタコやイカ等を探す作業は,それ自体が楽しいものですが,学生は,それぞれ自分が描きたい「ちりモン」をちりめんじゃこの中から興味津々で選んでいました。自分でテーマを絞り込む経験も芸術作家やデザイナーにとって重要です。  また,学生は,制作作業を行いながら,題材に対する自分の世界を広げるため芸術とは異なるジャンルの専門家の講義などを受けます。その一環で,6月7日には,「きしわだ自然友の会」の日下部敬之氏を講師に,「ちりモン」とそれを取り巻く生態系などについて講義いただきました。

 また,6月13日には,京都大学大学院理学研究科教授の山極寿一氏を講師に,三十年以上にわたりアフリカの熱帯雨林で実践された,ゴリラの観察を通したフィールドワークの貴重な御経験について講義いただきました。

 講義では,山極教授から,「ゴリラを観察するために,ゴリラのまねをして,群れの一員となった。」というお話や,「アフリカで2年間付き添った子どものゴリラと26年ぶりに再会した。再会した時に,高齢となっていたゴリラは,私の顔を見て,子どもの顔に戻っていった。人間が昔の人形や写真から昔の自分に戻ることがある。それと一緒である。このことは,科学的に証明することは難しい。しかし,ゴリラの中に人間との違いを見比べ,読み取ることができる。それが私にとって,観察するということ。」など,興味深いお話を数多く聞かせていただきました。

 講義の後,学生から多くの質問があり,中には「ゴリラと人間を比較してそれぞれのすごいところは。」という質問に対し,山極教授から「人間はあらゆる意味で過剰。力をセーブできていない。ゴリラは大きな力を持っているが,力をセーブし節度を守る。」と回答され,個体と個体を取り巻く環境について考えさせられるやり取りもありました。

 科学者の観察の仕方は,芸術作家やデザイナーの観察の仕方と観点が異なります。学生は,その違いや,逆に共通点を学ぶことにより,観察の切り口や幅を広げていきます。

 今回御紹介しました授業において制作された学生の作品は,制作の過程等と合わせて,7月14日(木曜日)から8月7日(日曜日)まで堀川御池北東角にある京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA(アクア)で展示します。

 皆様,異なるジャンルの観察の仕方が学生の中で融合し,表現された作品を是非,御覧ください。

【2011年度京都市立芸術大学総合基礎実技展】

期間 2011年7月14日(木曜日)~8月7日(日曜日)
会場 京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA(アクア)
住所 京都市中京区油小路通御池押油小路町238-1
開館時間 11時~19時(入場は18時45分まで)
月曜日(7月18日(月曜日,祝日)は開館,
19日(火曜日)は休館)
交通・アクセス 地下鉄「二条城前」駅<2番出口>徒歩約3分
市バス「堀川御池」バス停下車すぐ

京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA(アクア)のホームページは,こちらを御覧ください。