フィルムの保存

フィルムの適切な保存環境は,カラーの場合,0℃以下,30~50%の湿度と言われている。特に,1950年代以降に普及したアセテート・フィルムは,温湿度変化によってビネガー・シンドロームを発症するため,低温低湿で空気循環機能のある安定した保管環境を用意できるかどうかが重要なカギとなる。こうした環境が難しい場合には,低温低湿の保管庫を提供している倉庫会社に預けることもひとつの手立てだ。

ビネガー・シンドロームとは,ベース材のセルローストリアセテートが湿度や熱によって化学変化を起こし,酢酸化してしまう現象を指している。そのため,ビネガー・シンドロームにかかったフィルムは,次第に形が変形していき,ひどい場合には粉を吹きだして朽ちてしまう。さらに悪いことに,ビネガー・シンドロームにかかったフィルムから放たれる酢酸によって,別のフィルムのビネガー・シンドロームが促進されてしまう。そのため,ビネガー・シンドロームにかかったフィルムは,中性紙箱や穴の開いたフィルム缶など通気性の高いケースに換え,酢酸臭がなくなるまでガスを放出させる。ビネガー・シンドロームの発症は,臭いや見た目にもわかる場合があるが,「A-D ストリップ」という調査用品を使用することが多い。深刻なビネガー・シンドロームが発生していた場合には,株式会社IMAGICAウェストなどフィルム修復を手掛ける企業に相談することをお勧めする。

 

フィルム保管:寺田倉庫共進倉庫

16mmフィルムのビネガーシンドローム対策:映画保存協会

A-D ストリップ

フィルム修復:株式会社IMAGICAウェスト

フィルム缶の製造:足柄製作所

中性紙箱制作:P.G.I. 

ページトップへ戻る