フィルムに関わる機器

フィルムの管理や展示を行う上で,映写機が必要になるが,その他,関連する機器がいくつかある。長編映画の編集にはスタインベックなど大型の編集機が必要となるが,ここで簡易的な作業に必要な機器を紹介する。

映写機:フィルムフォーマットごとに,異なる仕様の映写機が必要。8mm,16mm,35mmなどフィルムの大きさによっても異なるが,映写機によっては記録されている音声を読み取れ場合もあるため,仕様を細かく確認する必要がある。一般的に映写機はフィルムが入ったリールから送られてくるフィルムのパーフォレーションを,回転するギアの爪にひっかけ,光源とレンズの間にあるプレッシャープレートと呼ばれる部位を通って,受け側のリールへと流れていく仕組みである。途中でギアが噛んでしまうと,パーフォレーションが割れることがある。また,受けのリールにうまくフィルムが入っていない場合,フィルムが流れてしまうことやフィルムが止まった状態でランプがついていると,フィルムが焼けてしまうこともあるので注意したい。個人制作などでよく使用される16mmの映写機はEIKIやEIZOなどのメーカーによって制作された。現在,入手困難になりつつある。生産停止が見込まれるキセノンランプは,買いだめしておいても内部のガスが一定期間で抜けてしまう可能性がある。

リワインダー/ヴュワー/スプライサー:簡易的なフィルム編集機器。フィルムの点検を行う際に必要となる機器。リワインダーはその名の通り,フィルムの巻き取りを行う機器。手回しハンドルの二つのリワインダーにフィルムの入ったリールと空のリールを取り付け,ハンドルをまわしていくことでフィルムを送りだす。ヴィワーは,リワインダーの間に置き,フィルムを挟み込むことで,一コマずつフィルムの状態を確認していくことが出来る。スプライサーは,フィルムを正確な位置で切断し,テープでフィルム同士を接合するための機器。パーフォレーション(フィルムを送る穴)の破損によって,該当箇所を切断しなければならない状況やループ再生を行う場合のはじめと終わりをつなげる場合などに必要。また,映写機で上映する場合に,前後に本編と関係ないリーダーと呼ばれる素抜け,あるいは黒みのフィルムをつける必要があるが,これらの接合にも必要になる。

リール:フィルムを映写機にかける際に必要となる。フィルムの上映には,必ず二つのリールが必要となり,フィルムが巻き取られている側から空のリールへと送っていく。映像の長さによってそのサイズは異なる。また,フィルムはプリント時,「コア芯」と呼ばれる芯に巻き取られているが,そのままの状態で映写機にかけることは出来ない。そのため,プリントされたばかりのフィルムを使用する際には,コア巻き用のリールが必要になる。

ルーパー:フィルムをループ再生する機器。展覧会などで,ループ上映を行う際に必要となる。さまざまな形のルーパーがあるが,映写機の上部に設置するスタイルが主流。日本国内での生産はほとんどなく,海外での受注生産が多い。現代美術の現場でフィルム作品が展示される際に使用されることが多い。

 

・国内の動画フィルム保存に関する組織

 

フィルムアーカイブ

国立近代美術館フィルムセンター

広島市映像文化ライブラリー

京都文化博物館

川崎市市民ミュージアム

福岡市総合図書館

 

フィルム保存活動

記録映画保存センター

フィルム保存協会

 

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