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次田心平さん 3/4

3. 幅広い音楽活動

次田心平さん(写真左)とセルジオ・キャロリーノ氏

interviewer_music卒業後,どのような活動をされましたか。

次田 卒業してすぐに,出演依頼をいただいていた日本フィルハーモニー交響楽団のチューバに空きが出て,はじめてオーディションを受けました。勉強のつもりで受験したのですが,幸いにも合格することができて,そこから音楽活動が広がっていきました。

interviewer_music現在,演奏家として,クラシック,ジャズ,スタジオミュージシャンと幅広く活動されていますが,どのようなお考えで展開されていますか。

次田 オーケストラの演奏を基本に,それ以外は,必要とされたところで演奏しています。仕事をこの分野でしかやらないというつもりはなくて,スタジオの仕事も依頼があればどんどんやりたいですし,ソロも頼まれればやりますし,可能性はいろいろあると思うので,自分がいろんな分野の人と通じ合えて,その中で自分の音楽の活動ができていればいいなと思います。

最近では,ユーフォニウムとチューバとピアノという形で演奏活動を始めました。そこでは,お互いが同じメロディを吹くこともあるし,伴奏に回ることもあります。チューバのできるいろんなことが詰まっているので楽しみですね。

interviewer_music海外で活動しようというお考えはありますか。

次田 最近は,フェイスブックとかで海外の演奏家も身近になっていますよね。海外の友達が結構いて,ポルトガルのセルジオ・キャロリーノという,今,世界のチューバ奏者の中で一番活躍している奏者がいるんですけど,その人から,ポルト国立交響楽団のエキストラや,彼が企画している音楽祭で一緒に演奏してくれないかと言ってもらっていて,まだ決まっていませんが,楽しみです。

interviewer_musicセルジオさんとはどのように知り合われたのですか。

次田 最初は僕がヤマハ株式会社で作ってもらっているチューバに虎の彫刻をしたり,いろいろ改造したりしていて,それをフェイスブックに投稿したら,彼が興味を持って質問してくれたんです。面白いのが,彼とフェイスブックでやり取りをしているとブラジルの人とかが,僕のことをポルトガル人だと思って,ポルトガル語でメールをくれたりするんですよ。それで,こっちは言葉がわからないから英語で答えていたら,ポルトガル人ではないのかという話になって。(笑)

 そのころに僕も彼のCDを聴くことがあったのですが,それはもう素晴らしいCDで,ヤマハの方に,「彼を日本に呼んでほしい」と声をかけて,ヤマハの浜松国際管楽器アカデミー&フェスティバルの中の音大生などを対象としたアカデミーの講師として来てくれるようになったんです。

 あとは,2011年に,チューバの国際カンファレンスに,出演依頼をもらってソロを吹きに行ったのですが,その時にヨーロッパの若手のチューバ奏者とたくさん知り合いになれました。その人達ともフェイスブックで繋がっていますね。

interviewer_music次田さんは,音楽活動とともに後進の育成にも力を注がれていますね。

次田 関東の音楽大学で23,4歳の時から10年くらい教えています。学生時代に,武貞先生に,「自分を超える存在をどんどん育てていかなくちゃいけない。」と教わっていました。武貞先生も音楽活動が忙しかったと思うのですが,熱心に指導していただいていて,「俺を踏み台にしてどんどん行けよ。」って言われていました。それを聞いて育ったので,今度は自分もやらないといけないと思っています。

interviewer_music音楽家としての喜びや楽しみはどういったところですか。

次田 チューバ奏者は,いろんなことができるところが楽しいですね。他の楽器では,オーケストラ奏者が演奏することは少ないのですが,チューバは,歌手のバックでの演奏やCDの録音の時のスタジオミュージシャンとして演奏することがあって,そういうお仕事でいろんな方と繋がりができることは嬉しいですね。

 また,コンサートでオーケストラの他の奏者の演奏がすごく上手かった時に,幸せだなぁと感じることがあります。そういった演奏を聞いて自分もがんばろうと思いますし,そうして,オーケストラの中で刺激し合って,オーケストラ全体で,最高の演奏ができればいいなと思います。

interviewer_music逆につらいことはありますか。

次田 好きなことを仕事にできているというのは本当に幸せなことだと思っているので,あまりないのですが,強いていえば,楽器が大きいので,移動の際やオペラなどの長時間の演奏は体にかかる負担は大きいですね。

interviewer_music気分転換にされていることはありますか。

次田 NBAが大好きで,試合の中継を録画しておいて,休みの日にまとめて見るのが楽しみです。また,大学や高校で,学生達と演奏合宿に行くことがあるのですが,合宿先にバスケットゴールがあれば学生達と一緒にバスケットをしています。家にもバスケットゴールを設置したいくらい好きですね。

 スポーツでは,真剣勝負の中にいろんなドラマが生まれ,多くの人を感動させます。音楽でもそういう風に多くの人を感動させることができるといいなと思います。

インタビュアー:三角顕史(管・打楽専攻修士課程2回生)
(取材日:2013年11月7日)※日生劇場にて

Profile:次田心平【つぎた・しんぺい】読売日本交響楽団 チューバ奏者 

京都市立芸術大学音楽学部管・打楽専攻卒業。

1999年PMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)にジュニアフェローで参加し,ケネス・エイミス氏に学ぶ。2000年カナダにて国際テューバコンクールのセミファイナルに出場。その後,インディアナ州立大学の教授ダニエル・ペラントウーニ氏の自宅にて数週間教えを受ける。2001年PMFに正式メンバーとして参加。同年,第18回日本管打楽器コンクールテューバ部門第4位,第21回同コンクール3位と続けて入賞。2002年,大学を首席で卒業し音楽学部賞,京都音楽協会賞を受賞。読売新人演奏会に出演。2003年~2008年,日本フィルハーモニー交響楽団に在籍。第24回日本管打楽器コンクール,テューバ部門において満場一致の1位となる。日本フィルハーモニー交響楽団をバックに協奏曲を共演。侍ブラス,ジャパンテューバソロイスツ,Break Throughのメンバーとして,演奏活動を展開するほか,関東の大学,高校で後進の育成にも力を注いでいる。