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浦山瑠衣さん 3/4

3. ピティナピアノコンペティション特級グランプリ受賞

「ピティナピアノコンペティション ファイナル」

interviewer_music改めて,ピティナピアノコンペティション特級グランプリ受賞おめでとうございます。

浦山 ありがとうございます。ピティナピアノコンペティション(※1)は,小学2年生の時に出場したB級に始まり,それから徐々にレベルを上げて,特級(※2)に出場するようになりました。高校生の時にも一度特級を受けてファイナルまで進みましたが,入賞には至りませんでした。セミファイナルの結果を聞いてからコンチェルトを譜読みし始めるという,とんでもない悲劇がありました(笑)。京都芸大での4年間に技術や表現力を鍛えていただいたことで,少しずつ自分らしさを演奏の中に発見できるようになり,自分が表現したいものをコンクールでトライしてみようと思い,特級を再度受けました。それに,もう一度リベンジしたい気持ちもあったんです。特級グランプリを受賞したときは,本当に嬉しかったです。

※1 ピティナ(PTNA:一般社団法人全日本ピアノ指導者協会)が主催する参加者のべ約40,000組(予選~決勝計)を誇る,世界でも最大規模のピアノコンクール

※2 ソロ部門の最高峰で,年齢制限がなく,世界を目指すすべてのピアノ学習者のために開かれている。過去には国際的に活躍するピアニストを輩出しており,「最も国際コンクールに近い国内コンクール」を標榜している。

interviewer_music試験やコンクールでの曲目はどのように決めるのですか。

浦山 初見で弾いてみた時に,なんとなく「この曲は上手く弾けそうだな」と感じる曲を選ぶことが多いです。経験的に直感で感じるものがある曲は,上手くまとめられるし,自分が好きな曲でもあるんですよね。「好きだから弾きたい」と思う気持ちがあるのかもしれないです。でも,自分がこれは得意な曲だと思っていたのに,他の人からは,「何であれを選んだのか」と疑問に思われることも未だにあるし,プログラムのバランスもありますし,コンクールのための選曲は難しいです。

interviewer_musicピティナピアノコンペティションではレッスンを受けていない曲弾かれたとお聞きして驚きました。

浦山 ファイナルで弾いたショパンのコンチェルトは,マイケル先生のレッスンで一度弾いただけでしたし,アルベニス(※3)のイベリアからも何曲か弾きましたが,そのうちの1曲や,邦人の新曲課題は,完全な独学でした。

※3 イサーク・アルベニス(スペインの作曲家・ピアニスト)

interviewer_music私は,コンクールで弾く時によく緊張してしまうのが悩みですが,緊張はされますか。

浦山 もちろんです(笑)。特にコンクールでは「ここでミスをしてしまうと,今まで頑張ってきた練習が台無しになってしまう」という雑念が入ってしまって。その気持ち,すごくわかります。私の経験ですが,自分が好きな音楽をお客さんとシェアしたいという気持ちでコンクールに臨んだら,それほど緊張しなくなりました。他には,自分が人前で弾いた時の喜びを思い出してみることもいいかもしれません。

interviewer_music私たちは,「こう弾かなければならない」とか「こう弾いてはだめ」とか思ってしまうのですが,先輩は弾くことをどう考えていますか。

浦山 私も学部生の時は,何かにとらわれていて,「こう弾かなければならない」と感じていました。大学院生になると,年齢的にも少し成長して伝えたいものが出てくるだろうし,周りの人もアーティストとして扱ってくれるから,やらなければならないことの自覚が出てくると思います。ボストン音楽院では,先生方も私を学生ではなく,一人のアーティストとして扱ってくれます。周りの環境もあり,「自分はもう学生ではないんだ」と感じるようになってきました。そんな経験から,責任感や喜びを感じ,自分の心に素直に,感情をオープンに表現できるようになってきました。

インタビュアー:藤本志帆(ピアノ専攻4回生)・近野剛 (ピアノ専攻3回生)
(取材日:2013年12月11日)※スカイプでのインタビュー

Profile:浦山 瑠衣【うらやま・るい】ピアニスト

2011年,京都市立芸術大学音楽学部ピアノ専攻を京都音楽協会賞を受賞して卒業。在学中,定期演奏会のソリストに抜擢され大学オーケストラと共演。大学卒業後,渡米。現在,ボストン音楽院修士課程に在学中。2004年,第58回全日本学生音楽コンクール北海道大会高校生の部第1位。2005年,ピティナ・ピアノコンペティションG級ベスト4賞,2006年同コンペティション特級ファイナリスト。2007年,2012年ペルージャ音楽祭(イタリア)参加。2012年,ショパン国際コンクール(アメリカ・ハートフォード)第2位。2013年,ピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリ。これまでに東京ニューシティ管弦楽団,リスト音楽院オーケストラ,ペルージャ管弦楽団,京都市立芸術大学管弦楽団と共演。