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玉木 優さん

1. 呉先生の下で

interviewer_music音楽との出会いはいつですか。

玉木 音楽を始めたのは幼稚園の時です。親友がエレクトーンを習っていて,それがうらやましくて始めました。中学校の吹奏楽部でトロンボーンに出会い,3年生の時にプロの演奏家になると決心して,西宮高校音楽科へ進学し,その後京都芸大に入学しました。

interviewer_music京都芸大でどのような学生生活を過ごされましたか。

玉木 2年上に風早宏隆さん(現・関西フィルハーモニー管弦楽団トロンボーン奏者),1年上に次田心平さん(現・読売日本交響楽団チューバ奏者)がいらっしゃって,よくオーケストラスタディの練習に誘ってくださいました。よく一緒にオケスタを練習していましたね。その時の経験が役に立ち,仕事をするようになってから,知っている曲が多かったです。

 京都芸大は学生数が少なく,みんな和気あいあいとしていましたね。在学中は自分たちのレベルがよく分からなかったけれど,卒業後に評価される人が多く,良い環境だったのだと後になって感じます。

いずみホールにて,関西新人演奏会(2003)

interviewer_music京都芸大での授業や行事で印象に残っていることはありますか。

玉木 やっぱり呉信一先生(平成25年度退官,トロンボーン)のレッスン,管・打楽合奏とオーケストラスタディの授業です。その他には特別講義で,週に1回1時間,学部を問わず先生が来て専門分野のことを話すという授業があり,音楽の先生だけでなく,日本画やデザインといった異分野の先生の話が面白かったですね。

 

 あと失敗談ですが,3回生前期の定期演奏会で,チャイコフスキーの五番を演奏した際に,ゲネプロまでは良かったのに,本番では緊張してトロンボーンが目立つ箇所をことごとくミスしてしまいました。呉先生はどんな演奏も決してけなされることはないのですが,この時ばかりは「良かったよ。」との優しい言葉とは裏腹に,顔は怒りに満ちていて,ものすごく怖くて情けなくて,申し訳ない気持ちになったことを覚えています(笑)。

interviewer_music学生時代に考えていたこと。悩みや葛藤はありましたか。

玉木 3回生になると,一般大学に通う友達の就職活動も始まり,自分の卒業後の進路に大きな不安を感じたことをよく覚えています。甘えた気持ちで,呉先生に「卒業後,僕はどうしたらいいですか?」と聞くと,「それは分からんなあ」と言われて(笑)。ショックでしたが,これがきっかけで自立しなければと思うようになり,「自分自身で進路を切り拓いていくんだ」という方向へ切り替えができました。今思えばとてもありがたい助言だったと感じています。

インタビュアー:中村文香,寺谷春乃(いずれも管・打楽専攻3回生*取材当時)

(取材日:2015年12月28日・下京区役所にて)

Profile:玉木 優【たまき・ゆう】トロンボーン奏者

1980年兵庫県出身。2003年京都市立芸術大学音楽学部卒業。

2012年度文化庁海外研修奨学生としてスイス・ベルン芸術大学を最優秀で修了。米国ミシシッピ交響楽団,東京佼成ウインドオーケストラを経て,現在南デンマークフィルハーモニー管弦楽団副首席奏者。日本管打楽器コンクール第1位,韓国チェジュ国際金管楽器コンクール第2位ほか,国内外で受賞多数。また2013年よりプロ奏者育成のためのワークショップを主宰。音楽之友社「バンドジャーナル」誌にてコラムを連載。