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玉木 優さん 4/4

4.最善の自分を出すために


interviewer_music今後やりたいことは何でしょうか。

 今後は,ヨーロッパでの活動と併行して,日本でのソロとアンサンブル,人材育成に力を入れていきます。社会のために自分ができる事は何か。演奏にしても,教育にしても,自分にしかできない独自の活動を続けていくことができればと思います。

interviewer_music学生の間にやっておいた方が良いことはありますか。

玉木 学生の内はできるだけ様々なことに挑戦し,たくさん失敗を重ねれば良いと思います。演奏本番もあまり守りに入らず,自分の最善の音色,最高の演奏を出すにはどうしたら良いのか考えて欲しいです。日本人は「こうあるべきだ」と,堅苦しく考えたり,物事を決めつけてしまったりしがちなところがありますが,失敗を恐れず,自分の心の声に正直でいることが大切だと思います。

interviewer_music京都芸大を目指す受験生の皆さんと,在学生に向けて,一言お願いします。

玉木 受験は厳しい部分もありますが,コツコツと努力を積み重ねていくしかないと思います。受験は,コンクールのように1番を決める場所ではないから,自分がどういう道筋でこれから進んでいきたいのか,楽器を通して将来何がしたいのかを考えていけばよいと思います。完成度も必要な要素だとは思いますが,自分の目の前に伸びている長い道のりにある一つの通過点として,合否だけではなく,その先の夢や目標を見据えて挑むのがよいのではないでしょうか。

 京都芸大はとても自由でアットホームな雰囲気です。人数が少ないから,学生や先生もみな顔見知りになりますし,和気あいあいとしています。そのような環境で,卒業後自分がどんな音楽家になりたいのか,自分の人生の時間と労力をどういったことに注いでいきたいのかを考えつつ,最大限楽しく過ごして欲しいです。

 在学生の皆さんは,アンテナを張り巡らせ,できるだけ有意義な時間を過ごすのがよいと思います。大学の時ほど,自分の時間を自由に使えることは一生の内でもそんなにはありませんから,すごく貴重な4年間だと思います。大学を出て仕事をし始めると,一日中,楽器と向き合うということも時間的に難しくなります。時間に余裕があるというのはものすごく恵まれたことで,大きなチャンスだと思います。練習,演奏,遊びに積極的に取り組み,できるだけたくさんのことを吸収してください。それが必ず将来の財産となります。

インタビュー後記

 世界という大きな舞台でご活躍されている偉大な先輩にこのようなお話を聞くことができ,大変刺激的で貴重な体験となりました。

 学生時代,日頃からオーケストラスタディやアンサンブルなどをよくやっていたというお話を伺いました。個人練習だけでなく,仲間と一緒に学べることに感謝して,残りの京芸生活を送りたいと思います。

中村文香(音楽学部 管・打楽専攻3回生*取材当時)

 憧れであった偉大な大先輩から,学生時代やその後どう過ごされていたのかなど,とても貴重なお話をお聞きすることができました。玉木さんにインタビューをさせていただき,改めて京都芸大は素晴らしい学校だと再認識しました。

寺谷春乃(音楽学部 管・打楽専攻3回生*取材当時)

(取材日:2015年12月28日・下京区役所にて)

Profile:玉木 優【たまき・ゆう】トロンボーン奏者

1980年兵庫県出身。2003年京都市立芸術大学音楽学部卒業。

2012年度文化庁海外研修奨学生としてスイス・ベルン芸術大学を最優秀で修了。米国ミシシッピ交響楽団,東京佼成ウインドオーケストラを経て,現在南デンマークフィルハーモニー管弦楽団副首席奏者。日本管打楽器コンクール第1位,韓国チェジュ国際金管楽器コンクール第2位ほか,国内外で受賞多数。また2013年よりプロ奏者育成のためのワークショップを主宰。音楽之友社「バンドジャーナル」誌にてコラムを連載。