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岡田圭子さん 2/4

2. 就職活動〜入社

就職活動で感じた壁

岡田 進路については、何も悩まずに工業デザインで就職を考えました。当時は企業も成長の時期で、学生の取り合いになっていたんです。男性の先輩は、いくつもオファーのある就職先から選ぶのに苦労されていました。それをずっと見ていて、何も悩むことはないと思っていました。ところが、実際に就職活動をすると、女性にはデザイナーの仕事がほとんどなく、ある会社では、「男性がメインのデザイナーで、女性はアシスタントデザイナーしか雇いません。」と言われました。

 それで高井先生が、シャープは女性のデザイナーを何人も採用していて、会社全体に、ものすごく平等意識があるからということで推薦してくださって、シャープを受け、幸い通ることができました。

 就職するにあたって、予備校の先生から、「なぜそうなっているのかをよく考えなあかん。入った時には、ずっとやりますと言っているのに、みんな辞めていく。そうすると、企業として女性を採用するリスクが高い。だから君は自分の希望するところに入れたわけだから、自分の後ろに女性が続いていると思って、辞めないでがんばりなさいよ。」という言葉を贈られました。

シャープ入社

岡田 シャープに入った時には定年までいようと心に決めていましたし、ずっと周りに公言していました。今でこそ、お子さんができても働かれる女性は多いですけど、当時は結婚、特に出産では辞める方が多かったですね。子供を産んだら家庭に入らないとやっていけないという価値観がありましたから、周りはそういうふうに見ますよね。そういう風に見られると、甘やかされて職場の華みたいに扱われてしまうんですよね。だから「自分は定年までがんばる!」という風に公言して、「こいつはがんばるのかなぁ」と思わせて、鍛えてもらおうと思っていました。

 社員として成長するうえで、ローテーションで職場を変わるということはすごく大事なことです。シャープには坂下清さんという、デザイン出身で、常務取締役まで務められた方がいらっしゃって、私はその人の秘書の仕事をしながらデザインの仕事をさせていただきました。定年までがんばりたいという公言が効いたのか、3年半経ったときにデザインから商品企画の部署に人事異動させてくれたんです。

 大学時代に学んだ「世の中の流れを見てどういうものを作るか」を考えることは、会社の中では実は商品企画なんです。その人事異動は私にとって、ここまで仕事を続けてこれた大きな転機となりました。

インタビュアー:美術学部 染織専攻2回生 城田香菜子
(取材日:2012年2月10日)

Profile:岡田圭子【おかだ・けいこ】シャープ株式会社 執行役員

京都市立芸術大学美術学部デザイン専攻卒。昭和53年シャープに入社し、主に生活家電のデザインや企画部門を歩む。調理システム事業部長を経て、平成22年10月からオンリーワン商品・デザイン本部長兼ブランド戦略推進本部長、23年4月から執行役員、24年4月からブランド戦略推進本部長 執行役員。