閉じる

共通メニューなどをスキップして本文へ

ENGLISH

メニューを開く

服部麻衣さん 2/4

2. 学生時代の悩みと夢



現在の職場「大阪くらしの今昔館」にて

interviewer今の京都芸大では,みんなで何かを作りあげるということがよくありますが,当時はどうでしたか。

服部 私の学生時代もそうでしたよ。多くの友達といろんなことをしてみたいという思いがあって,G.M.G(※1)に入りました。せっかく京都芸大に来たのだから,美術や音楽に秀でた人とコラボレーションしたいと考えて入部したんです。G.M.Gで思い出されるのは,芸大祭ですね。私は衣装係を担当していたのですが,芸大祭の前になると,毎日眠気に襲われながらミシンを踏み続けていました。当時は,出演役の学生も不足していたので,キャストたちと一緒に発声練習して,端役で出演させてもらったりしました。大変でしたが,普段できないことを経験でき,すごく面白かったです。

(※1)G.M.G…「芸大ミュージカルグループ」の略。京都芸大の文化系クラブの1つで,芸大祭でミュージカル公演を行っている。キャスト,舞台美術,照明,音響,オーケストラ,編曲等をすべて行う。

interviewer学生時代に描いていた夢は何ですか。

服部 私には年の離れた妹がいることもあって,子どもと接する仕事がしたくて,子どもの絵画教室をやってみたいと思っていました。その他には,本を読むことも好きだったので,本を装丁する仕事をすることも考えていました。

 周りには,いつも制作していないと気が済まない熱い学生が多かったからか,その情熱を人に伝えるような仕事をしてみたいと考えたこともありましたね。



京芸時代:総合基礎実技の課題にて,素材と戯れる

interviewer進路については,どのように考えていましたか。

服部 学部を卒業後,もう少し勉強したいと思って修士課程に進みましたが,修士課程を修了した後の進路を考えるに当たって,社会で自分の力が何に役立つのか全くイメージが湧かずに悩んでいました。教員採用試験を受けてみたり,アルバイトに勤しんだり,将来についていろいろと模索していたところ,修了直前に京都府内の美術高校の採用試験に誘っていただいて,そこで常勤講師として働かせてもらうことになったんです。

interviewer学生のうちにやっておいた方が良いと思うことはありますか。

服部 私自身の経験ですが,もう少し勉強しておけば良かったと思います。学生の頃の勉強は,すぐに活かせないこともあるので,モチベーションが上がらないこともありましたが,勉強したことは,社会に出た時に必ず活かせると思うので,頑張ってください。

 悩みもいろいろありましたが,悩んでいる時はいつも,周りの友達のおかげで乗り越えられたように思います。先生方にも,随分面倒を見ていただきました。総合芸術学科は,学生と先生の距離が近く,いつも先生に相談していたんですが,その度に親身になって一緒に考えてくださいました。大切なのは,悩みやわからないことがある時は,恥ずかしがらずに伝えるということです。伝えることができれば,周囲の人が助けてくれるはずです。

インタビュアー:川久保美桜(総合芸術学専攻 2回生*)*取材当時の学年

(取材日:2014年12月10日・大阪くらしの今昔館にて)

Profile:服部麻衣【Mai HATTORI】学芸員

島根県生まれ。2004年京都市立芸術大学美術学部総合芸術学科総合芸術学専攻卒業。2006年同大学院美術研究科修士課程芸術学専攻(芸術学)修了。京都府内の美術高校での常勤講師としての勤務を経て,2008年から「大阪くらしの今昔館」で学芸員として勤務している。同館では,展覧会等の仕事を通して,たくさんの人や物との出会いを大切にしている。