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饗庭 絵里子さん

1. 音響心理学との出会い

interviewer_music幼い頃はどのような子どもでしたか?

饗庭 とにかく何にでも興味を持つ,好奇心旺盛な子どもだったようです。音楽だけでなく,運動でも何でも自分で勝手にやっていたらしく,知らない間にできるようになっていることが多くて驚かされたと両親が言っていました。私が覚えている話だと,補助輪を片方はずした自転車を友達から借りて練習して,補助輪なしで自転車に乗れるようになったので,「自分の自転車の補助輪をはずしてほしい」と言ったのですが,練習していたことを知らなかった両親は完全に疑っていました。それで,実際に目の前で乗るように言われて乗って見せたら,とても驚いていましたね。とにかく興味を持ったことには進んでチャレンジする子どもだったと思います。

 ピアノとの出会いは幼稚園の頃です。幼稚園の先生が弾いているのがうらやましくて,見よう見まねで弾いていました。それで先生の話を聞かなくなって困らせてしまったらしく,保護者面談のときにピアノを習わせてはどうかと言われたことがきっかけで習い始めました。最初はお友達と一緒の所がいいだろうということで,ピアノ専門の先生ではなくバイオリンが専門の先生に習っていました。案の定,バイオリンもやってみたいと言ったのですが,さすがに手を出し過ぎだというので止められましたね。

 そして小学4年生の時にマンションから戸建ての家に引っ越したのを機にグランドピアノを買ってもらいました。その時からピアノ専門の先生に習い始めて本格的に練習をはじめました。

interviewer_music京都芸大を受験しようと思ったきっかけは?

饗庭 一番は,習っていたそのピアノの先生が京都芸大音楽学部の前身である京都市立音楽短期大学のご出身ということで,京都芸大を勧めてくれたからですね。

 小学校の卒業文集に「将来,何になりたいですか?」という質問があって,その頃からすでに音楽関係の仕事がしたいと書いていましたが,ピアニストになりたいというわけではなかったんです。高校は普通科だったのですが,やはり音楽関係の仕事に就きたいなあと漠然と考えていました。それと,母が大学教員をしていたので,大学の先生も良いなとも思っていました。あと,相変わらず好奇心旺盛だったので,途中で勉強がしたくなったら進路変更もできるところがいいなと考えて,音楽の単科大学ではなくて芸術大学に行きたいと思っていました。そして,京都芸大に入ってからもピアニストとして活動をしていきたいというのではなく,音楽について幅広く勉強がしたいという思いを常に持っていました。


ピアノコンチェルト リハーサル(2002)

interviewer_music大学生活で印象に残っていることは何ですか?

饗庭 大学に入るまでは,アンサンブルなどの経験がなかったので,人と一緒に演奏することが本当に楽しかったです。伴奏も好きでした。他の楽器の人達の伴奏や,歌の伴奏もそれぞれ印象に残っていますが,特に印象に残っているのは,オペラの練習伴奏です。確かマスネの『サンドリヨン』でした。

 もう記憶がおぼろげですが,ピアノ専攻の演奏試験の直後で引き受け手がいなかったみたいなんですよね。私も引き受けたものの練習時間が3日間くらいしかなかったような気がします。でも,何度譜読みしても,未知の部分があるというワクワク感と,何とか間に合わせなければという使命感のようなものが芽生えて,電子ピアノを使って夜中まで練習しました。とはいえ,結構頼りない仕上がりだったとは思いますが・・・。

 あとは,やはりピアノが好きらしく,ピアノデュオが楽しかったですね。

interviewer_music音響心理学の道に進もうと思ったのはいつ頃ですか?

饗庭 大学に入学してからです。学部1回生の時に,大串健吾先生の音響心理学の授業を受けて「これだ!!」と思いました。それで,学部2回生の時に先生のところに「私も研究がしたいです。」と相談に行ったところ,結構気軽な感じで「じゃあ実験やりましょう。」と言ってくださいました。その時に大学院では音楽学を専攻しようと決めました。進むべき道がわかって嬉しかったですね。先生はフットワークがとても軽い方で,すぐに大学院受験までのスケジュールを立てて下さって,学部3回生の終わりに実験をやって,学部4回生の時には先生が他の大学の先生方と一緒に開催しておられる勉強会で発表して・・・という感じで,スムーズに音楽学の道に進むことができました。大串先生には今の研究にもつながる多くのことを教えていただき感謝しています。

【続きは8月14日(水曜日)に公開予定です。】

インタビュアー:池田 菫(修士課程 器楽専攻(ピアノ)2回生*)

松浦佑美(音楽学部 音楽学専攻4回生*)*取材当時の学年

(取材日:2018年12月7日・本学音楽研究棟にて)

Profile:饗庭 絵里子【あいば・えりこ】大学教員

1981年メルボルン(オーストラリア)生まれ。2004年京都市立芸術大学音楽学部ピアノ専攻卒業。2009年同大学大学院音楽学領域博士課程修了。関西学院大学,産業技術総合研究所(日本学術振興会特別研究員PD)などを経て,現在,電気通信大学准教授。