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瀬 泰幸さん 2/4

2. 仲間と切磋琢磨した学生時代

interviewer_music大学ではどれくらい練習していたのですか?

 教職課程を履修していたので,授業が多く,練習時間を捻出するのが大変でしたね。授業の前後や夜間も,遅くまで練習室を予約して,結構必死に練習していました。それに自宅がある宇治市から2時間くらいかけて通学していたので,自由な時間が少なく,下宿生に比べると専攻の仲間と飲みに行く機会が少なかったのが残念でしたね。そのほか,授業がない夏季休暇などを利用して,他のコントラバスの先生の講習会などに参加していました。

当時コントラバスの学生は8人いたのですが,一緒に泊りがけで講習会に参加するなど,仲が良かったですね。今でも各地の楽団で活躍しているので,刺激を受けるいいライバルであり,いい仲間です。少人数制の京都芸大だからこそ,いい仲間に巡り合えたと思います。

interviewer_music大学で記憶に残っている授業はありますか?

 日本美術史の授業は印象に残っています。飛鳥時代から鎌倉時代くらいの仏像について,毎時間詳しく解説してくれるんですね。詳細は忘れてしまったのですが,「この右手の形はこういう事を表しています。」など一体一体,先生が説明してくれて。今までの人生で全く触れる事がなかった分野なので,衝撃を受けました。京都にはたくさん実物があるのだから,学生時代に神社仏閣巡りをしておけばよかったと,今でも後悔しています。

また,雅楽の授業も楽しかったです。私は篳篥(ひちりき)の演奏に取り組んだのですが,先生は宮内庁でも教えているような方で,とても貴重な経験をさせてもらったと思います。

interviewer_music学生の間にやっておくべきことは何だと思いますか。

 一つの事を突き詰める事かな。明確な目標をもって突き詰めて努力することだと思います。例えば私は,30歳までにオーケストラに入団することを常に目標にしていました。だから,それに向けてブレることなく努力しました。もし30歳になっても入団できなければ,きっぱりあきらめるつもりだったんです。その時に後悔だけはしたくないと思い,必死に練習しましたね。

コントラバスを専攻してるほとんどの学生がオーケストラ奏者を目指すと思います。少ない枠を多くの奏者が目指すので,可能性が少ないようなイメージがあるかも知れませんが,オーケストラは国内外にたくさんあり,オーディションを受けるチャンスは無数にあります。だから挫折しそうになっても,あきらめずにチャレンジして欲しいです。

インタビュアー:岩田小桃(弦楽専攻4回生*),森光惇友(弦楽専攻3回生*)*取材当時の学年

(取材日:2019年12月25日・本学音楽研究棟にて)

Profile:瀬 泰幸【せ・やすゆき】読売日本交響楽団コントラバス奏者

1984年京都府生まれ。2007年京都市立芸術大学音楽学部弦楽専攻卒業。同年,ヴュルツブルク音楽大学大学院(ドイツ)入学。2008年からベルリン国立歌劇場管弦楽団オーケストラアカデミーに入団し奨学生として研鑽を積む。2014年から読売日本交響楽団のコントラバス奏者。これまでにコントラバスを西口勝,吉田秀,文屋充徳,クリストフ・アナカー,アクセル・シェルカの各氏に師事。