日本画専攻
145年の歴史と伝統
理論、技法、描く力を養う
教育目的

日本画専攻は、本学が1880年に日本初の公立絵画専門学校として開設されて以来、日本画の制作指導と、制作理論の研究を行ってきました。連綿と続いてきた基礎技術の指導により表現技法を修得した上で、現代における日本画表現と技法を学び、また制作理論の基礎を研究し、日本画を制作していきます。
同時に古画研究を通して、古典絵画における様式研究や技法研究を行い、原作の評価と鑑賞の方法を学び、日本画制作における評価能力を養います。
伝統に培われた指導により技術を獲得し、さらに今日的な感覚と知識、絵を見る目を持ち、日本画制作を続けていく力を修得します。
教育理念
伝統的かつ柔軟なカリキュラム
日本画専攻では、2年次までは本学日本画専攻の特徴の一つでもある写生教育を基盤とした基礎的なカリキュラムを行っています。また、移転を機に、これまでの教育を引き継ぎながら、新たな視座を交えた内容へと転換を図っています。さらに、現在の多様化する日本画表現に対応すべく、3年次から選択できる特色の異なる3つのゼミを開設しています。さまざまな視点を持ちながら創作する力を磨くことで、卒業後の多様な進路において、刻々と変化する課題にも柔軟に対応できる能力を身につけることを目指します。
実技カリキュラム
日本画基礎A・B(1年次後期・2年次前期)

1年次前期の総合基礎実技を履修後、日本画専攻の基礎実技が始まります。「日本画基礎A」・「日本画基礎B」では、対象への観察姿勢を養います。「捉えること」について、写生を軸にしたさまざまなアプローチに加え、古画の学びを通して、画材や表現への知見を深め、日本画制作に対する基礎体力を育みます。
日本画基礎C(2年次後期)

日本画基礎A・Bで培った絵画制作への着眼と描写力を土台に、より深化した日本画制作を行います。基礎から継続している写生は、表現に対する原動力として熟成されています。現場で何を発見し、掴んできたのか、一人一人の体得を見つめ直し、再解釈・再構築することで、絵画表現の可能性についての理解を深めていきます。
研究室1・2・3(3年次・4年次)
3年次より、下記の3つの研究室から1つを選択し履修します。研究室の変更は、半期ごとに可能です(4年次は通年で履修することが望ましい)。
研究室1 | 古画(近代以前の日本美術や日本美術に影響を及ぼしてきた異文化の古典絵画など)が有する美意識,様式,表現技法について,時代,地域を俯瞰的に調査する観点から、模写を中心とする日本画制作を行います。各自が理想とする絵画表現について関心を掘り下げて、取材や写生で観察力を養い、観察力から生まれる考察を、実直に描くことによって、表現への理解を深めます。制作の進捗状況に応じた講評、発表、合評を行い、表現力を磨きます。 |
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研究室2 | 対象の観察を手がかりに、各自が持つ造形感覚と表現したい世界観を個別指導を重ねながら具体化し作品制作を行います。1セメスター中に3・4回生合同の合評会を3回実施します。 |
研究室3 | 絵画とは何か。作品となるにはどのような要素が必要か。作品制作は、完成に至るプロセスやアプローチの方法によって、多種多様な表現が編み出されるものです。それは、徐々に自分自身の思考の軸を構築していくなかで、獲得していくものだともいえます。 この授業では、制作上必要な思考の軸を獲得するために、3・4回生合同で行うゼミ形式の授業によって、何をきっかけとして、それを作品化させるためにどのようにするかを、ともに考えていく授業です 。 |
在学生の声

先入観を持つことなく、自身の表現を探求できます。
山本 涼太さん(日本画専攻4回生)
日本画専攻では動物、植物、地面、人体などの課題を2年通して行います。少し修行的な側面もありますが、これらの課題を経て、身近なことから着想を得てそれを作品にする力や、絵の構造を見る力など、さまざまな視点が養われたように思います。更に、模写や素材などのレクチャーも定期的に行われるのですが、基礎的なことを重点的に教えてくれるので、この方法でないと駄目だというような先入観を持つことなく、自身の表現を探求できます。制作時間はもちろん絵も描きますが、散歩したり、展示を見に行くこともできます。僕は畑に水をやりながら虫の観察をしたり、轆轤で壺を作ったりしています。そのような時間を大切にしてくれる専攻です。
専攻のゼミや活動
東アジアレベルでの岩彩画の展開
日本画研究室では、岩彩画(中国での日本画材を用いた絵画の名称)研究において、これまで中国との国際交流を数多く行ってきました。2019年度は、中央美術学院・上海美術学院の教員を招聘し、中国での岩彩画教育と本学日本画教育の現状について意見交換をしました。2022年度においても、敦煌研究院美術所所長によるオンライン形式での講義を開催するなど、今後も交流を続けていきます。
受賞情報
教員紹介
非常勤講師(実技)一覧
- 池上真紀
- 梶岡百江
- 宮林綾子